東方美人は台湾を代表する青茶の一種で、発酵度が60~80%と高く、紅茶(100%発酵) に近いものです。
この場合の発酵は麹菌などの微生物による発酵ではなく、茶葉に含まれる酵素によって成分が変化することをさします。
歴史的背景について
19世紀に誕生し、紅茶の国イギリス貴族の間で人気となり、「オリエンタルビューティー」と呼ばれ、ヨーロッパで一躍有名になったそうです。
害虫に咬まれた茶葉の美味
独特の甘い香気の秘密はウンカ(ミドリヒメヨコバイ)という小さな虫によります。茶葉がウンカに咬まれると防御反応から香気成分を生成すると考えられています。
この香気成分を上手に生かして製茶すると、蜜のような甘い香りになるそうです。そして茶葉の色が緑、黒、白、赤、黄色などに変化しているのも特徴です。
どんな味わい?
水色は黄からオレンジ色で澄んで透明感があり、水蜜を思わせる甘い香りがあります。喉ごしは滑らかで、芳醇な甘みが感じられます。
ゆっくり寛ぎたいティータイムや、食後のデザートのお供に向いていると思います。
とてもデリケートなお茶
栽培はウンカのために無農薬、ウンカの飛来が少ない年もあり、天候、栽培者、茶師の腕に左右されるデリケートなお茶なのです。
得られる効果
ほかの青茶と同様に、ウーロン茶ポリフェノールを含み、エネルギー代謝や中性脂肪燃焼の促進、血中コレステロールの抑制、抗酸化作用などの健康効果もあります。
用意のポイント
茶葉は湯50㎖に対して1gが目安。
200ml容量の茶壺(チャフ―、急須)なら茶葉は4g用意します。
美味しい淹れ方
1.沸騰させた湯を85~90℃まで冷まします。
2.茶壺に湯を注いで温めます。
3.湯を捨て、茶葉を入れます。
4.85~90℃の湯を注ぎ、すぐに捨てます。洗茶です。
茶葉のあくを除き、成分を出やすくします。
捨てた湯を茶杯に注いて温めます。
5.茶壺に85~90℃の湯を注ぎ、蓋をして30~40秒蒸らします。
6.1煎目を、茶海(チャハイ)に汲み出します。お茶の濃度を均一にするため。
茶杯の湯を捨て、汲み出したお茶を注ぎ分けます。
2煎目をすぐに淹れないときは、茶壺の蓋を開けたままにし、
内部の温度を下げ、成分の浸出を最小にとどめます。
4~5煎愉しめます。